自転車の空気抵抗の謎:ホイールの空気抵抗
15-November-'08 02:11
Age: 2 yrs



Category: Bicycle, Research




自動車で高速道路を走ると概ね80km/hを越える辺りから急激に燃費が悪くなっていくことが分かります。色々なウェブサイトなどでも指摘されています。この辺りの速度域から空気抵抗が無視できないくらい大きくなっていくと考えられます。物体の空気抵抗は速度の2乗に比例して増大します。実際にはもっと複雑で、低い速度域では空気の流れが乱れず抵抗はほぼ速さに比例します。ところがある速さを超えると空気の流れ(特に後ろ側)に乱れ(乱流)が起こり極めて大きな抵抗が発生して行きます。この乱流は自転車に乗っていると簡単に確かめられます。ハンドルの後ろ、特に太ももの辺り、に手をかざしてみると円柱状のハンドルの後ろに発生する渦潮のような乱流が感じ取れます。ハンドルの断面がパイプ状ではなく飛行機の翼のように流線型ならば受ける空気抵抗は5~10倍位太くても同じ(!)であることも知られています(右上の模式図;今回のヒントとなった本が最近出版されています:「ロードバイクの科学(著者:藤井徳明)」第1章26ページ)。

それで、いつも疑問だったことは、自転車に乗っていると速度が30~40km/h辺りから急激に空気抵抗の影響が出てくることです。この差は一体何なのでしょうか?脚力が余りにも非力だから空気抵抗の影響を受け易い?

まず、ホイールの空気抵抗はフレームや人体と少し違うのかも知れません。ということで、図解していて気が付いてしまったことがあります。これまでウェブ上の自転車の理論に関するサイトでも余り指摘されていませんが、ホイールは路面の上を転がるということです。風洞実験をやっているときのように空中を滑っている訳ではありません。転がると、ホイール周辺の各部分は場所によって速度が違うということです(右下の模式図)。各部分を見ていくと、一番下の地面に接している部分は路面と同じでほぼ静止していて空気抵抗は受けません。逆に一番上は路面に対して自転車の走行速度の2倍で前方に走っています(テコの関係で中心のハブ軸の倍の速さになります)。ハブ軸と同じ高さの前方と後方は路面に対して自転車全体と同じ速さで前に走っています。これまで見落としていたホイール上部は自転車の速度が40km/hの時には、実際には80km/hで前方に走っていて高速道路上の自動車と同じ速度域の空気抵抗を受けていることになります。

これが自転車の速度が30~40km/h辺りから急激に空気抵抗の影響を受けることの理由であるなら、ホイールの空気抵抗は自転車で速く走るための無視できないファクターであろうということになります。これを確かめるには前後のホイールの上部3分の2を自動車のようにカバーで覆って走ってみれば分かるような気がします。また、現在生産されている空力ホイールの効果が限定的なのは、右上の模式図にもある通りパイプ状のタイヤの後方の形状を流線型に尖らせない限り抵抗の原因となる渦を取り除くことが出来ないからであることも分かります。








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